こんにちは。「KOTAライフ」の運営者「KOTA」です。
「正月飾りはいつ飾って、いつ片付けるのが正解なんだろう?」
毎年年末になると、そんな疑問を抱きながらなんとなく準備をしている方も多いのではないでしょうか。
実は私も、若い頃は意味も分からず、親の見よう見まねで飾っていた一人です。
元料理人のKOTAです。
早いうちに母を亡くしたこともあり、大人になるまではただ習慣として玄関に飾りをつけていました。
しかし、その意味や「年神様をお迎えする」という本来の目的を知ると、不思議と背筋が伸びるものです。
この記事では、忙しい現代の生活スタイルに合わせつつ、伝統を大切にするためのポイントをまとめました。
無理なく、心地よい新年を迎えるためのヒントになれば幸いです。
- 28日に飾るのがベストとされる理由と避けるべき日付
- 門松やしめ縄や鏡餅に込められた本来の意味
- 地域によって異なる松の内の期間と処分のタイミング
- マンションや現代の暮らしに合わせた飾り方と処分方法
正月飾りはいつからいつまで?飾る意味と飾る日

まずはお正月飾りを「飾るタイミング」と、それぞれの飾りが持つ「意味」について整理していきましょう。
基本を知ることで、毎年なんとなく行っていた準備が、心豊かな儀式に変わります。
忙しい年末ですが、ポイントを押さえれば無理なく実践できますよ。
門松やしめ縄など正月飾りの種類と役割

正月飾りには、それぞれ年神様(としがみさま)をお迎えするための重要な役割があります。
これらは単なるデコレーションではなく、神様をもてなすための「機能的な装置」と理解するのが一番しっくりきます。
なぜなら、それぞれが「招く」「守る」「宿る」という具体的な機能を持っているからです。
私が料理場に立っていた頃、師匠から「火と水は神様そのものだ」と教えられました。
そのため、包丁を納める場所や火元には、年末になると必ず小さなしめ縄(輪飾り)をつけていました。
これは「神聖な場所を清浄に保つ」という意思表示であり、一年間の無事を感謝する儀式でもあったのです。
一般のご家庭でも、キッチンやトイレに小さな飾りをつけるのは、こうした「生活を支えるインフラ」への感謝の表れと言えるでしょう。
それぞれの飾りが持つ深い意味を理解すると、スーパーやホームセンターで飾りを選ぶ際の視点も変わってきます。
「今年は玄関をしっかり守りたいから、しめ縄は少し立派なものにしよう」とか、「リビングには神様に長くいてもらいたいから、鏡餅は大きめにしよう」といった具合に、願いを込めて選べるようになるはずです。
各飾りが持つ「機能」と意味合い
主な飾りの意味を以下の表にまとめました。
選ぶ際の参考にしてみてください。
| 飾りの種類 | 役割・意味 | KOTAのひとことメモ |
|---|---|---|
| 門松
(かどまつ) |
神様が空から降りてくるときに迷わないための目印(アンテナ)。
松は「神を待つ」、竹は「成長」を表します。 |
最近は集合住宅用の小さな寄せ植えタイプも人気ですね。玄関先に置くだけで気が引き締まります。 |
| しめ飾り
(しめ縄) |
ここから先は清らかな場所ですよと示す結界(バリア)。
悪いものが入ってくるのを防ぎます。 |
裏白(うらじろ)は「心の潔白」、橙(だいだい)は「代々栄える」など、飾り一つ一つに願いが込められています。 |
| 鏡餅
(かがみもち) |
家に来てくださった神様が座るための座布団(依代)。
その魂が宿る場所とされています。 |
最後に食べることで、神様のパワー(御魂)を体に取り込むのがゴールです。カビない真空パックでもOKですよ。 |
飾る際に意識したいポイント
これらの飾りは、ただ置けばいいというものではありません。
「ここにお迎えしますよ」という家主の意思表示でもあります。
例えば門松の竹の切り口ですが、斜めに切った「そぎ」は断面が笑った口のように見えることから「笑う門には福来る」として好まれています。
また、しめ縄につく「譲り葉」は、古い葉が落ちて新しい葉が出ることから「家系が絶えない」ことを願うものです。
忙しいとつい「形だけ」になりがちですが、こうした一つ一つの願いを知っていると、飾り付ける手つきも自然と丁寧になるものです。
私も現役時代、包丁を研ぐのと同じくらい、神棚のしめ縄を整える時間は心を落ち着ける大切な儀式でした。
豪華なものである必要はありません。
小さくても、その意味を噛み締めながら飾ることで、お正月を迎える心の準備が整うはずですよ。
29日や31日は避けて28日に飾るのがベスト

「じゃあ、いつ飾ればいいの?」という疑問に対するベストな回答は、ズバリ「12月28日」です。
これには明確な理由と、避けるべき「凶日」の存在が関係しています。
年末のスケジュールを組む際は、可能な限りこの日をターゲットに大掃除を進めることをおすすめします。
なぜ28日が「最強の日」と言われるのでしょうか。
その最大の理由は、「八」という数字にあります。
漢字で「八」と書くと、下に向かって広がっていく形をしていますよね。
これが古くから「末広がり」と呼ばれ、将来的な繁栄や幸運が広がっていくことを象徴する、日本で最も縁起の良い数字の一つとされてきたからです。
また、現代のカレンダー事情とも非常に相性が良いのがこの日です。
多くの企業や官公庁が28日を「仕事納め」とするケースが多く、一年の労働を終え、大掃除をある程度済ませたタイミングと重なります。
清められた空間に、縁起の良い日に飾り付けを行う。
この一連の流れが、気持ちよく新年を迎えるための「黄金ルート」なのです。
私自身も、現役時代は28日の営業終了後に厨房の飾り付けを済ませるようにしていました。
換気扇の油汚れを落とし、調理台を磨き上げ、最後に新しいしめ縄を掛ける。
一年の感謝を込めながら飾りを付ける時間は、年末の慌ただしさの中でふと心が静まる貴重なひとときでした。
「今年も無事に終わったな」と安堵するスイッチとして、28日を活用してみてはいかがでしょうか。
ただし、28日が難しい場合でも、絶対に避けるべき日があります。
それが「12月29日」と「12月31日」です。
29日は「二重苦」や「苦松(苦が待つ)」に通じるため、一般的には凶日とされます。
31日は「一夜飾り」となり、葬儀を連想させるほか、神様をお迎えするのに前日にバタバタ準備するのは失礼にあたるからです。
もし28日を逃したら、30日がラストチャンスだと覚えておいてください。
元旦や年明けに飾るのはマナー違反か解説

「仕事が忙しくて年末の準備が全くできなかった!」「気付いたら大晦日の夜だった」なんてことも、現実には起こり得ます。
そんな時、慌てて31日の夜に飾るべきか、諦めるべきか迷いますよね。
結論から言うと、31日に無理やり一夜飾りをするくらいなら、年が明けた「元旦の早朝」に飾る方がまだ良いとされています。
これには「若水(わかみず)」という、日本古来の考え方が関係しています。
元旦の朝一番に井戸や水道から汲む水「若水」には、強い生命力と浄化の力があると信じられてきました。
この水で手や口を清め、リセットされた新たな気持ちで神様をお迎えするという解釈です。
「準備不足で申し訳ありません」と罪悪感を持って大晦日に飾るよりも、身を清めて「あけましておめでとうございます」と晴れやかに飾る方が、神様も悪い気はしないのではないでしょうか。
具体的なリカバリー手順としては、まず元旦の早朝に起きることが絶対条件です。
年神様は初日の出と共に来訪されると言われているため、昼過ぎや夕方では遅すぎます。
そして、手を洗い、口をすすぎ、できれば新しい服や清潔な服に着替えて心身を整えます。
その上で、「遅れましたが、お待ちしておりました」という感謝の気持ちを込めて設置します。
もちろん、本来は年末に準備を済ませておくのがマナーであることは間違いありません。
しかし、最も良くないのは「もう間に合わないから」と投げやりになって、何もしないことかもしれません。
たとえ遅れたとしても、お正月という節目を大切にし、神様を迎え入れようとする心の動きこそが重要です。
「形」も大事ですが、それ以上に「心」が伴っているかが問われるのが、神事の本質だと私は思います。
もしもの時は、この「元旦飾り」という救済措置を思い出して、清々しい気持ちで新年をスタートさせてください。
マンションの玄関に飾る際のおすすめ方法

最近はマンションやアパートなどの集合住宅に住む方が増え、「立派な門松やしめ縄を飾るスペースがない」「ドアにフックがない」という悩みもよく聞きます。
現代の玄関ドアは金属製や特殊加工のものが多く、昔のように釘を打つわけにはいきませんからね。
しかし、住環境が変わっても、工夫次第で伝統を取り入れることは十分可能です。
壁やドアを傷つけずに飾るためには、以下のような現代的な便利グッズを活用するのが賢い方法です。
まずおすすめなのが「強力マグネットフック」です。
多くのマンションのドアはスチール製(金属製)なので、マグネットが付きます。
100円ショップのものでも十分ですが、外の風で飛ばされないよう、ある程度耐荷重のある「ネオジム磁石」タイプを選ぶと安心です。
外すときも跡が残らず、賃貸でも気兼ねなく使えます。
次に、ドアの表面がツルツルしている場合や、ガラス部分がある場合に有効なのが「吸盤フック」です。
ただし、冬場は結露や乾燥で吸着力が落ちることがあるので注意が必要です。
設置面をきれいに拭き、ハンドクリームを薄く塗るなどの裏技を使うと落ちにくくなりますよ。
また、ドアの上部に引っ掛けるタイプの「ドア用リースフック」なら、磁石も吸盤も付かない木製ドアでも設置可能です。
最近では伝統的なわら細工だけでなく、洋風のドアにも馴染むおしゃれなデザインの飾りが増えています。
ドライフラワーや水引を使った「リース型しめ飾り」や、玄関の下駄箱の上に置ける「ミニ門松」などが人気です。
これらなら、マンションの共用廊下で浮いてしまうこともなく、さりげなく季節感を演出できます。
飾る位置は、ドアの中央、かつ大人の目線より少し高い位置(神様を見下ろさない高さ)が基本マナーです。
私も今は大きな一軒家ではないので、身の丈にあったサイズのものを丁寧に飾るようにしています。
大切なのは「豪華さ」ではなく、その家に住む人が神様を歓迎しているという「サイン」を出すことです。
小さな飾り一つでも、あるのとないのとでは、帰宅した時の心の持ちようが全然違いますよ。
車やアパートで飾らない人が増えた理由

昔の年末といえば、商店街にはしめ縄が並び、行き交う車のフロントグリルには必ずと言っていいほどミカンのついたしめ飾りが付いていたものです。
しかし、最近ではそうした光景もめっきり減りましたね。
「周りがやっていないから、自分だけやるのは恥ずかしい」と感じる方もいるかもしれません。
なぜここまで飾る人が減ってしまったのでしょうか。
大きな理由の一つは、やはり生活スタイルと価値観の変化でしょう。
核家族化が進み、アパートやマンションなどの集合住宅では「ご近所の目」よりも「プライバシー」や「スタイリッシュさ」が重視される傾向にあります。
また、車に関しても、デザイン的に飾りをつける場所がなくなったり(フロントグリルが樹脂製など)、ワイヤーで傷がつくのを嫌がったりする人が増えました。
さらに、「宗教的な行事にこだわりがない」「年末年始は旅行に出かけるから家にいない」というライフスタイルの多様化も影響しています。
実は私自身も、結婚して仕事が忙しくなった時期、なんとなく飾るのをやめてしまったことがあります。
パートナーもあまり関心を示さなかったですし、「どうせ数日で捨てるものにお金をかけるのもな」という合理的な考えもありました。
しかし、飾らなくなってから、正月が単なる「連休」になり、季節のメリハリが失われたように感じたのです。
「あけましておめでとう」と言葉では言っても、空間が日常のままだと、気持ちが切り替わらないんですよね。
年を重ね、再び飾り始めて気付いたのは、「節目」としての効果の大きさです。
玄関に飾りがあるだけで、「ああ、新しい年が始まるんだな」と背筋が伸びる感覚があります。
周りがやっていないからこそ、自分の家だけでも季節感を大切にするというのは、とても粋なことだと思います。
もちろん、飾らないことが悪いことではありません。
ただ、もし「周りの目」を気にしてやめているのであれば、それはもったいないことかもしれません。
正月飾りは、ご近所に見せるためのものではなく、家の内側を守り、そこに住む家族の幸せを願うためのものです。
アパートの一室であっても、自分の城を守る結界として、小さなしめ飾り一つから始めてみてはいかがでしょうか。
正月飾りはいつからいつまで?飾る意味と処分法

お正月が終わった後、飾りをいつ片付けて、どう処分すれば良いのかも悩みの種ですよね。
「適当に捨てたらバチが当たりそう…」と不安になる方も多いでしょう。
実は、飾っておく期間や処分方法には、地域によって驚くほど大きな違いがあります。
ここでは、飾っておく期間「松の内」の地域差と、自宅でできる処分のマナーについて詳しく解説します。
関東と関西で違う松の内の期間と外す日

正月飾りを飾っておく期間のことを「松の内(まつのうち)」と言いますが、これには東西で明確な違いがあります。
もし引越しなどで住む場所が変わった場合、前の地域の感覚でいると「あの家、いつまで正月気分なんだろう?」と思われてしまうかもしれません。
ご自身の地域の習慣をしっかり確認しておきましょう。
主な地域の違いとして、関東地方(東京・神奈川など)や九州、東北の一部では「1月7日」に外すのが一般的です。
7日の朝に七草粥を食べて無病息災を願い、そのタイミングで飾りを片付けるという流れが定着しています。
一方、京都や大阪を中心とする関西地方(近畿圏)では、「1月15日(小正月)」まで飾る習慣が根強く残っています。
また、名古屋などの東海地方は東西の文化が混在しており、7日の地域もあれば15日の地域もあるという状況です。
なぜこのような地域差が生まれたのでしょうか。
実は歴史的な背景があります。
もともとは日本全国的に、小正月である1月15日までが松の内でした。
しかし、1657年に江戸を焼き尽くした「明暦の大火」が発生した際、乾燥した松飾りが火災を広げた一因と考えられました。
これを受け、江戸幕府は「松飾りは1月7日までに片付けるように」というお触れ(法令)を出したのです。
将軍のお膝元である江戸(関東)ではこの命令が徹底されましたが、遠く離れた関西まではその影響力が強く及ばず、古い習慣がそのまま残ったと言われています。
防災対策が文化の違いを生み、それが現代まで続いているというのは、非常に興味深い話ですよね。
もし自分の住んでいる地域がどちらか分からない場合は、近所の家の玄関を見て合わせるのが一番確実です。
また、最近では全国的なカレンダーやメディアの影響で、関西以外の地域でも徐々に「7日撤去」が主流になりつつある傾向も見られます。
いずれにせよ、大切なのは地域の神様やコミュニティのリズムに合わせることです。
北海道や伊勢など地域特有の飾る期間

関東・関西の二区分だけでなく、日本にはさらにユニークな正月文化を持つ地域が存在します。
特に北海道と、三重県の伊勢地方は特徴的で、検索でもよく疑問に上がります。
この二つの地域の事例を知ると、正月飾りの奥深さがより理解できるはずです。
まず北海道ですが、ここでは「空白期間」という独特の問題が発生します。
北海道は明治以降に開拓された土地であり、文化的には関東の影響を強く受けているため、一般的に「1月7日」に飾りを外す家庭が多いです。
しかし、これらを焚き上げる神社の行事「どんど焼き」は、伝統的な小正月に合わせて「1月14日」に行われることが多いのです。
ここに「7日に外して、14日までどうするの?」という約1週間のタイムラグが生じます。
この場合の対処法として、多くの家庭では7日に外した飾りを紙袋などに丁寧に収め、物置や玄関の隅など、清浄で生活の邪魔にならない場所で14日まで「保管」しています。
粗末に扱わなければ、家の中に置いておいても問題ありません。
関西流に15日まで飾りたいと思っても、14日の午前中でどんど焼きが終わってしまう神社が多いので、やはり7日に外して保管するのが現実的な解決策と言えます。
また、三重県の伊勢・志摩地方を旅すると、夏や秋になっても立派なしめ縄が飾られている家を見かけて驚くことがあります。
これは「片付け忘れ」ではなく、この地域特有の「蘇民将来(そみんしょうらい)」という伝説に基づいた信仰です。
かつてスサノオノミコトが旅の途中で宿を借りた際、貧しくとも精一杯もてなしてくれた蘇民将来に対し、「後の世に疫病が流行っても、蘇民将来の子孫と言って茅の輪をつけていれば免れる」と約束した伝説があります。
この証として、「蘇民将来子孫家門」や「笑門(しょうもん)」と書かれた木札がついたしめ縄を、一年中魔除けとして掲げ続けるのです。
このしめ縄は、年末に新しいものと交換されるまで外されることはありません。
もしこの地域でしめ縄を見かけても、「だらしないな」なんて思わないでくださいね。
それは、家族を災いから守ろうとする強い祈りの形なのですから。
どんど焼きに行けない時の自宅での処分方法

外した正月飾りは、神社や地域の広場で行われる「どんど焼き(左義長・鬼火焚き)」で焚き上げてもらうのが、最も正式で丁寧な処分方法です。
煙に乗って年神様が空へ帰るとされ、その火にあたることで無病息災が得られると言われています。
地域の人々と火を囲み、餅を焼いて食べる時間は、お正月の締めくくりとして素晴らしいものです。
しかし、仕事で日程が合わなかったり、近くで実施されていなかったり、あるいはダイオキシン問題で野焼きが禁止されていたりと、どんど焼きに行けないケースも増えています。
私も以前、職場のパートのおばさんに教えてもらうまでは、処分の仕方をよく知らずに困った経験があります。
自宅で処分する場合は、以下の手順で「お清め」をしてから、自治体のゴミ区分に従って出しましょう。
【自宅で処分する際のお清め手順】
まず、地域のゴミ出しルールに従い、飾りを分解します。
燃えるゴミ(わら、紙)と不燃ゴミ(針金、プラスチック装飾、鈴など)に分けましょう。
次に、大きめの白い紙(半紙、奉書紙、なければ新聞紙でも可)を広げ、飾りを置きます。
そして、塩(できれば粗塩)を「左・右・中(中央)」の順にパラパラと振りかけて清めます。
最後に、そのまま白い紙で、中身が見えないように丁寧に包みます。
この時、「ありがとうございました」と感謝の気持ちを込めることが何より大切です。
ゴミとして出す際は、他の生活ゴミ(特に生ゴミなどの不浄なもの)とは別の、新しいゴミ袋に入れて出します。
これは神様への最後のもてなしであり、収集員の方への配慮でもあります。
「ゴミとして出すなんてバチが当たるのでは?」と心配になるかもしれませんが、神様への感謝の気持ちがあれば大丈夫です。
心の中で手を合わせれば、それは立派な「送り出し」の儀式になります。
ただし、お神札(ふだ)やお守りに関しては、ゴミとして出すのではなく、神社にある「古札納所」へ返納するのが基本です。
詳しい扱いについては、神社本庁の公式解説なども参考になります。
(出典:神社本庁『お神札のまつり方』)
毎年同じものを使い回すのはNGなのか

「気に入ったデザインの正月飾りを、来年も使ってもいいの?」という疑問もよく聞かれます。
最近は造花やプリザーブドフラワーを使った高価でおしゃれな飾りも多いですから、一度きりで捨てるのは「もったいない」と感じるのも無理はありません。
これに関しては、神道的な原則と、現代的な感覚(SDGs)のバランスで考える必要があります。
神道の考えでは、正月飾りは神様が宿る「依代(よりしろ)」です。
一度使ったものには、その年の役目を終えた「穢れ(ケガレ=気の枯れ)」が付くと考えられています。
また、新しい藁(わら)や紙で作られた清浄なものにこそ、新しい神様(生命力)が宿るという「常若(とこわか)」の思想があります。
伊勢神宮が20年に一度社殿を造り替えるのと同じ理屈ですね。
そのため、基本的には「毎年新しいものに取り替える」のがルールです。
使い回しは、古い運気を引きずることにもなりかねません。
ただし、例外もあります。
干支の置物や、ガラス製・木製・陶器製の鏡餅飾りなど、神様の依代というよりは「季節のしつらえ(インテリア)」としての性格が強いものは、毎年繰り返し使っても問題ありません。
これらは大切に保管し、毎年飾ることで愛着も湧きますよね。
「これは神様が降りてくるアンテナなのか、それとも目を楽しませる飾りなのか」という基準で判断すると良いでしょう。
また、最近では環境への配慮から、プラスチック部分や土台を再利用し、自然素材の部分だけを新調するという「エシカルなお正月」のスタイルも提案されています。
「基本は新調する」という精神を理解した上で、素材や用途に合わせて柔軟に判断しても良い時代なのかもしれません。
迷った時は、自分の心が「清々しい」と感じる方を選んでみてください。
二十日正月などの地域行事について

松の内が明けた後も、地域によってはさらに長く正月行事が続く場所があります。
「正月は三が日まで」と思っていると驚くかもしれませんが、日本の正月文化は想像以上に奥深いものです。
特に印象的なのが、「二十日正月(はつかしょうがつ)」と呼ばれる風習です。
石川県や群馬県、沖縄県の一部などでは、1月20日を「二十日正月」と呼び、この日までを一区切りとする風習があります。
この日は別名「骨正月」とも呼ばれ、正月に用意したブリや鮭などのご馳走を、骨や頭まで煮込んで食べ尽くす日とされています。
「正月の祝い納め」として、自然の恵みを余すところなくいただき、感謝するという意味が込められています。
私は料理人として、この「骨正月」の精神に非常に共感します。
食材を粗末にせず、命を最後までいただく姿勢は、飽食の現代にこそ見直されるべき文化ではないでしょうか。
アラを大根と一緒に炊いたり、粕汁にしたりして、身体の芯から温まる料理で正月を締めくくる。
そんな丁寧な暮らしが、かつての日本には当たり前にあったのですね。
もしご自身の住む地域にこうした独特の風習があれば、ぜひ大切にしてください。
また、旅行で訪れた際に、その土地ならではの正月の名残を感じるのも素敵な体験ですよ。
地域ごとの違いを知ることで、自分たちの習慣の意味も、より深く見えてくるはずです。
まとめ:正月飾りはいつからいつまで?飾る意味の再確認

正月飾りは、単なる形式的なルールではなく、新しい年の神様を気持ちよくお迎えするための心の表れです。
「28日に飾る」「29日と31日は避ける」「松の内は地域によって違う」といった基本マナーはありますが、最も大切なのは「今年も無事に過ごせますように」という願いと感謝の気持ちです。
もし準備が遅れてしまっても、自分を責める必要はありません。
元旦に飾るという救済措置もありますし、小さな飾り一つでも神様は見てくれているはずです。
できる範囲で、心を込めて準備をすれば、きっと穏やかで良い一年が迎えられるはずです。
ご自身のライフスタイルに合わせて、無理のない範囲で日本の伝統を楽しんでみてください。
