「1st(ファースト)」、「2nd(セカンド)」…と続く英語の序数ルールは、英語学習の基本でありながら、多くの人がつまずきやすいポイントです。
特に3番目を表すときに、「3rd」と「3th」のどちらが正しいのか、明確な自信を持って答えられるでしょうか。
デザイン性の高いポスターやSNSの投稿でさえ、「3th anniversary」や「3th birthday」といった表現を見かけることがあり、混乱してしまうのも無理はありません。
しかし、これらの表現は実はよくある間違いの一つなのです。
この記事では、まず「3th」は間違いなのかという根本的な疑問に答え、正しい英語表現を文法的な観点から徹底的に解説します。
単に正解を示すだけでなく、なぜそうなるのかという理由まで掘り下げることで、記憶に定着させ、応用力を高めることを目指します。
さらに、「3th」と「3rd」の違いをわかりやすく整理し、「3rd」の持つ意味や歴史的な語源、そして文中での正しい使い方を深掘りしていきます。
これにより、表面的な知識だけでなく、言葉の背景にある文化的なコンテキストも理解できるでしょう。
記念日や誕生日での「3rd」の正しい使い方や、日常生活で頻繁に遭遇する日付や建物の階数で用いる際の具体的な例文も豊富に紹介します。
なぜ「3th floor」や「3th date」が文法的に誤用となるのか、その理由も明らかにすることで、あらゆるシーンで自信を持って使い分けられるようになります。
また、多くの学習者が「3th」を使ってしまう心理的な原因と文法的な注意点に触れ、万が一ビジネスの重要なプレゼンテーションやスピーチで誤用したときのスマートな対処法、さらには周囲の人の間違いを角を立てずに指摘するときの丁寧な言い方まで、実践的なコミュニケーションスキルとして網羅的に解説します。
数字の語尾ルール一覧では、特に間違いやすい「11th」「12th」「13th」といった例外にも注意を促し、「3rd」を含む日常英語フレーズ集や、便利な翻訳ツールで間違わないための英語チェック法もあわせて提供します。
この記事を通じて、3thと3rdの違いを正しく理解し、自信を持って使い分けられるようになりましょう。
- 「3th」と「3rd」の文法的な違いが明確にわかる
- 英語の序数に関する基本ルールと例外が身につく
- 日常生活やビジネスシーンでの正しい使い方が具体的に学べる
- よくある間違いの原因とスマートな対策が理解できる
- 3rd 3thの違いは?英語序数の基本ルール
- 実践で学ぶ3rd 3thの正しい使い分け
3rd 3thの違いは?英語序数の基本ルール
英語の序数(1st〜10th)の正しい書き方と「4nd」などの誤用を一覧でまとめた記事は、こちらです。
「3rd」「3th」以外の誤用(例:4ndなど)も含めた序数ルール全体は、こちらの記事で確認できます。
- 「3th」と「3rd」の違いをわかりやすく整理
- 「3th」は間違い?正しい英語表現を文法的に解説
- 「3rd」の意味・語源・正しい使い方
- 英語の序数ルール:1st・2nd・3rdの基本をおさらい
- 数字の語尾ルール一覧:11th・12th・13thにも注意
- 学習者が「3th」を使ってしまう原因と注意点
- SNSや会話で見かける「3th」誤用例まとめ
- 翻訳ツールで間違わないための英語チェック法
「3th」と「3rd」の違いをわかりやすく整理
まず最も重要な結論からお伝えすると、「3rd」が文法的に正しく、「3th」は英語として存在しない誤った表記です。
英語で物事の順序や順番を示す「序数」には明確なルールがあり、「3番目」を表すときは、必ず「3rd」と表現しなくてはなりません。
この違いは、単なるスペルミスや好みの問題ではなく、英語という言語が持つ歴史や発音の仕組みに深く根差した、本質的な文法ルールです。
そのため、ネイティブスピーカーや英語に精通した人が見れば、一瞬で「間違い」として認識されてしまいます。
視覚的な違いと文法的な役割の相違点
「3rd」と「3th」の最大の違いは、語尾のアルファベット「rd」と「th」にあります。
この語尾は、その数字が持つ歴史的背景と音声的な特徴を反映しています。
「3rd」の「rd」は、元になる単語「third」の最後の2文字から来ています。
一方で、「3th」は、一般的な序数(4th, 5thなど)の語尾「th」を、例外であるべき「3」に誤って適用してしまった形です。
文法的には、「3rd」は「3番目」という順序を明確に示す役割を果たしますが、「3th」にはそのような機能はなく、英語の体系の中では意味をなさない文字列となります。
ビジネス文書や公式な案内、学術的なレポートなど、正確性が求められる場面で「3th」を使用してしまうと、基本的な知識が不足しているという印象を与え、信頼性を損なうことにもなりかねません。
まずは、以下の比較表で両者の根本的な違いを明確に理解し、記憶に刻みましょう。
項目 | 3rd | 3th |
---|---|---|
正誤 | 正しい表記 | 誤った表記 |
元になる単語 | third | – (存在しない) |
読み方 (発音) | third (サード) | – (存在しない) |
意味 | 3番目、第3の | 意味をなさない |
品詞 | 序数詞 (形容詞・副詞として機能) | – |
使用場面 | 日付、順位、階数、記念日など | – (いかなる場面でも使用不可) |
このように、見た目はわずかな違いですが、その背景にあるルールは絶対的なものです。
「3th」という表記は英語のルールから完全に逸脱した表現であり、コミュニケーションにおいて誤解や混乱を招く原因となります。
この基本をしっかりと押さえることが、正しい英語を身につける第一歩です。
「3th」は間違い?正しい英語表現を文法的に解説
「3th」がなぜ文法的に間違いなのか、その理由をより深く掘り下げて解説します。
この点を理解するためには、英語の数字には「基数」と「序数」の2種類があり、その形成ルールが異なることを知るのがポイントです。
基数(Cardinal Numbers)と序数(Ordinal Numbers)の役割
基数 (Cardinal Numbers) は、単に数量や個数を表す数字です。
「one (1) apple」「two (2) people」「three (3) books」のように、物の数を数える際に使われます。
これは「いくつあるか?」という問いに答える数字です。
一方で序数 (Ordinal Numbers) は、物事の順序、順番、階級、または日付を表す数字で、「何番目か?」という問いに答えます。
「the first (1st) prize(1等賞)」や「the second (2nd) chance(2度目のチャンス)」のように使われます。
多くの序数は、基数の語尾に「-th」を付けることで作られます。
例えば、「four (4)」は「fourth (4th)」、「seven (7)」は「seventh (7th)」、「nineteen (19)」は「nineteenth (19th)」となります。
この「-th」で終わる序数が大多数を占めるため、「three (3)」にも「-th」を付けて「3th」としてしまう間違いが起こりやすいのです。
歴史が作った不規則変化:1st, 2nd, 3rdの誕生
しかし、1, 2, 3だけは、この「-th」ルールの重大な例外であり、それぞれが全く異なる固有の単語を起源としています。これは英語の歴史の中で、ゲルマン語派の古い言語から受け継がれた不規則な形が、現代まで生き残った結果です。
序数の特別な起源 (1, 2, 3)
- 1番目: first (古英語の “fyrst” に由来) → 語尾から 1st
- 2番目: second (ラテン語の “secundus” に由来) → 語尾から 2nd
- 3番目: third (古英語の “thridda” に由来) → 語尾から 3rd
これらの「first」「second」「third」は、もともと独立した単語として存在していました。
そして、序数を数字で簡潔に表記する際には、元になる単語の最後の2文字を数字の後ろに付けるという慣習が定着しました。
そのため、「three (3)」という基数に、一般的なルールである「-th」を機械的に付けた「3th」という形は、この特別な成り立ちを持つ序数のルールに反するため、文法的に明確な誤りとなるのです。
「3rd」の意味・語源・正しい使い方
「3rd」は、前述の通り「3番目」や「第3の」を意味する序数「third(サード)」の正式な省略形です。
この言葉は、順位、日付、階数、順番など、私たちの身の回りで非常に広く使われています。
語源探求:古英語「thridda」からの変遷
その語源をたどると、古英語の「thridda」に由来します。
これはさらに古いゲルマン祖語に起源を持つとされており、非常に長い歴史を持つ言葉です。
興味深いことに、中英語の時代には音位転換(メタセシス)という音声変化が起こり、「thrid」という形と「third」という形が共存していました。
最終的に現在の「third」という形に落ち着き、現代英語に受け継がれました。この単語の語尾が「-rd」であるため、数字の「3」と組み合わせて「3rd」と表記されるようになったのです。
世界で最も権威ある英語辞書の一つであるオックスフォード英語辞典(OED)も、このような歴史的変遷を詳細に記録しており、言語の進化の一例として非常に興味深いものです。
文中での機能:形容詞と副詞としての使い方
「3rd」は文中では主に形容詞や副詞として機能し、文脈に多様な意味を与えます。
「3rd」の主な使い方と役割
形容詞として使う場合:
名詞の前に置かれ、「3番目の~」という意味でその名詞を具体的に説明します。冠詞の「the」を伴うことが一般的です。
例: “This is the 3rd time I’ve seen this movie.” (この映画を観るのはこれが3回目です。)
例: “Please turn to the 3rd chapter.” (第3章を開いてください。)
例: “She is the 3rd candidate on the list.” (彼女はリストの3番目の候補者です。)
副詞として使う場合:
動詞を修飾し、順位や順番が「3番目に」であることを示します。
例: “Our team finished 3rd in the tournament.” (私たちのチームはトーナメントで3位になりました。)
例: “He arrived third, just after the winners.” (彼は勝者たちのすぐ後、3番目に到着した。)
このように、「3rd」は単に順序を示す記号ではなく、文の構造の中で形容詞や副詞として重要な役割を担っています。正しい使い方をマスターすることで、より正確で自然な英語表現が可能になります。
英語の序数ルール:1st・2nd・3rdの基本をおさらい
ここで、英語の序数に関する最も基本的で重要なルールを、記憶に定着させるため改めておさらいしておきましょう。
英語の序数表現で最も大切なのは、1から3までの数字が特別な形を持つという絶対的なルールです。
この3つの例外さえ確実に覚えてしまえば、序数の大部分は理解したと言っても過言ではありません。
ルール適用の基本:一の位の数字が鍵
このルールは、一桁の数字だけでなく、二桁以上の数字にも適用されます。
「一の位」の数字が何か、という点が判断の基準となります。
例えば、「51」は一の位が「1」なので「51st」、「82」は一の位が「2」なので「82nd」、「93」は一の位が「3」なので「93rd」となります。
このパターンを理解することが、大きな数字になっても迷わないための鍵です。
序数の最重要基本ルール:一の位に注目!
- 1で終わる数字 → 語尾は「st」 (例: 1st, 21st, 31st, 101st)
- 2で終わる数字 → 語尾は「nd」 (例: 2nd, 22nd, 32nd, 102nd)
- 3で終わる数字 → 語尾は「rd」 (例: 3rd, 23rd, 33rd, 103rd)
- それ以外の数字 (4, 5, 6, 7, 8, 9, 0) で終わる数字 → 語尾は「th」 (例: 4th, 9th, 20th, 30th)
なぜこのルールが重要なのか?
このルールは単なる暗記事項ではありません。これを守ることで、あなたの英語はより自然で、教養あるものとして相手に伝わります。
特に書き言葉においては、序数の正確な使用は基本的なマナーと見なされることが多く、ビジネスメールやレポートでの誤用は、不注意な印象を与えてしまう可能性があります。
このルールが全ての序数表記の土台となります。
しかし、英語の文法には常に例外がつきものです。
この後で説明するように、この基本ルールが適用されない特殊なケースも存在するため、注意深く学習を進める必要があります。
数字の語尾ルール一覧:11th・12th・13thにも注意
基本ルールを理解した上で、次にマスターすべきなのが例外的な数字の扱いです。
英語学習者が序数で最もつまずきやすいのが、「11」「12」「13」という3つの数字です。
これらの数字は、一の位が「1, 2, 3」であるにもかかわらず、前述の基本ルールは適用されません。
代わりに、全て語尾が「-th」になります。
10番台(-teen)の壁:なぜ例外なのか?
この例外が生まれる理由は、11 (eleven) から 19 (nineteen) までの「-teen」で終わる数字が、歴史的・音声的に一つのグループとして扱われてきたためです。
これらの数字は、一の位の数字とは独立した固有の単語として認識されており、「twenty-one」のようにハイフンで結ばれる数字とは成り立ちが異なります。
そのため、一の位のルールを適用せず、一括して「-th」を付けるという特別なルールが適用されるのです。
特に注意すべき序数の例外:10番台の特別ルール
- 11番目: 11th (eleventh) ※11stという表記は存在しません
- 12番目: 12th (twelfth) ※12ndという表記は存在しません
- 13番目: 13th (thirteenth) ※13rdという表記は存在しません
このルールは、英語の音の流れを自然にするために生まれたと言われています。
「eleven-first」や「twelve-second」といった発音は、英語のリズムに合わないため、避けられた結果と考えられます。
綴りの変化にも注意
また、序数になる際に綴りが少し変化する単語もあります。特に注意が必要なのは以下のものです。
・five → fifth (veがfに変わる)
・eight → eighth (tが一つになる)
・nine → ninth (eが消える)
・twelve → twelfth (veがfに変わる)
この例外ルールは、100の位や1000の位になっても同様に適用されます。
例えば、「111番目」は「111th」、「112番目」は「112th」、「113番目」は「113th」となります。
基本ルールと例外ルールを以下の表で整理し、いつでも確認できるようにしておきましょう。
数字 | 正しい表記 | 間違いやすい表記 | 適用されるルール |
---|---|---|---|
1 | 1st | 1th | 特別ルール (“first”) |
2 | 2nd | 2th | 特別ルール (“second”) |
3 | 3rd | 3th | 特別ルール (“third”) |
11 | 11th | 11st | 例外ルール (-teen) |
12 | 12th | 12nd | 例外ルール (-teen) |
13 | 13th | 13rd | 例外ルール (-teen) |
21 | 21st | 21th | 基本ルール (一の位が1) |
22 | 22nd | 22th | 基本ルール (一の位が2) |
23 | 23rd | 23th | 基本ルール (一の位が3) |
111 | 111th | 111st | 例外ルール (下二桁が11) |
学習者が「3th」を使ってしまう原因と注意点
なぜこれほど多くの英語学習者が、基本的なルールであるにもかかわらず「3th」という間違いを犯してしまうのでしょうか。
その背景には、いくつかの心理的・言語的な要因が考えられます。
認知心理学が示す「過剰一般化」の罠
最大の原因は、人間の脳が持つ「ルールを単純化・一般化したい」という認知的な傾向にあります。
これは第二言語習得において「過剰一般化(Overgeneralization)」として知られる現象です。
学習者は、ある文法規則(この場合は「序数には-thを付ける」)を学ぶと、その規則を例外的なケースにまで適用しようとします。
序数の大部分が「-th」で終わるため、「序数は数字に-thを付ければ良い」という大まかなルールが強力な記憶として残り、1, 2, 3の例外や、11, 12, 13のさらなる例外まで意識が向かず、一般ルールを誤って適用してしまうのです。
母語干渉:日本語話者が特に陥りやすいポイント
また、文化庁の報告にもあるように、日本語と英語の言語構造の違いも影響しています(これを「母語干渉」と呼びます)。
日本語では「第1」「第2」「第3」のように、数字の前に接頭辞「第」を付けるだけで、数字自体の形や語尾は変化しません。
この母語のシンプルな体系が、英語の複雑な語尾変化に対する直感的な理解を難しくしている一因と言えるでしょう。
「4th, 5th, 6th…と9割以上がthで終わるなら、3もthでいいかな?」と脳が効率化を図ってしまうのは、ある意味自然なことかもしれませんね。
しかし、言語の正確性は、こうした細かなルールの積み重ねで成り立っています。
「化石化」を防ぐための効果的な学習戦略
ここでの重要な注意点は、一度間違った形で覚えてしまうと、その記憶を修正するのは非常に難しいということです。
これは「化石化(Fossilization)」と呼ばれる現象で、誤りが脳内で定着してしまうと、意識してもなかなか訂正できず、無意識のうちに繰り返し使ってしまいます。
これを防ぐためには、英語学習の初期段階で、例外も含めた正しいルールを意識的に、そして徹底的に定着させることが極めて重要になります。
単なる丸暗記ではなく、「なぜそうなるのか」という理由や背景と共に学習することが、長期的な記憶の定着に繋がります。
SNSや会話で見かける「3th」誤用例まとめ
「3th」という誤用は、文法的な正確さよりもスピードや手軽さが重視されがちな、インターネット上のカジュアルなコミュニケーション、特にSNSで頻繁に見られます。
これは英語を母国語としない人々の間で特に顕著ですが、驚くべきことに、時としてネイティブの若者の間でもスラング的に、あるいは単なるタイプミスとして見られることがあります。
ソーシャルメディアにおける誤用実例
友人や家族、または企業の記念日をお祝いするポジティブなメッセージを投稿する際に、善意からでありながらも、次のような文法的な間違いが散見されます。
SNSでよく見かける「3th」の誤用例
- “Happy 3th Anniversary to my love!” (正しくは 3rd)
- “Celebrating my son’s 3th birthday today! Time flies!” (正しくは 3rd)
- “Can’t wait for our trip! See you on May 3th.” (正しくは 3rd)
広告や商品デザインに見られる間違い
さらに深刻なのは、商業的な広告や商品のパッケージデザインで誤用が見られるケースです。
プロのデザイナーやコピーライターがチェックを怠った結果、誤った英語が印刷され、広く配布されてしまうことがあります。
これは企業のブランドイメージにとってマイナスであり、細部への注意力が欠けているという印象を与えかねません。
ネイティブスピーカーは誤用をどう捉えるか?
これらの表現は、英語ネイティブの目に触れた場合、文脈から意味は推測してもらえるでしょう。
親しい友人であれば、微笑ましい間違いとして受け流してくれるかもしれません。
しかし、一般的には「英語の基礎をまだ学んでいる段階の人」という明確なシグナルとして受け取られます。
これが個人のアカウントであれば大きな問題にはなりませんが、企業の公式アカウントや、フリーランスとして専門性をアピールしたい個人のアカウントでこのような基本的な間違いがあると、プロフェッショナリズムを疑われ、ブランドイメージや個人の信頼性をわずかに損なう原因にもなりかねません。
細部への注意力が、全体の印象を左右する良い例と言えるでしょう。
翻訳ツールで間違わないための英語チェック法
近年、Google翻訳やDeepLといった機械翻訳ツールの性能は飛躍的に向上し、多くの場面で非常に役立ちます。
しかし、序数のような細かい文法ルールに関しては、依然として限界があり、全面的に信頼するのは危険です。
機械翻訳の仕組みと限界
最も注意すべき点は、ツールは入力されたテキストの「正しさ」を必ずしも判断しないということです。
AI翻訳の主な目的は、入力されたソース言語の「意味」をターゲット言語に最も自然に「変換」することにあります。
そのため、ユーザーが誤って「3th anniversary」と入力すれば、AIは「ユーザーは『3周年』と伝えたいのだろう」と意味を推測し、ソース言語の誤りを指摘することなく、そのまま「3周年」と日本語に変換してしまう可能性が非常に高いのです。
具体的なセルフチェック手順(ステップ・バイ・ステップ)
したがって、翻訳ツールを賢く利用するためには、それに頼りきるのではなく、最終的なチェックは人間が行うという意識が不可欠です。
以下の方法を組み合わせることで、ツールの便利さを享受しつつ、間違いを効果的に防ぐことができます。
翻訳ツール利用時に組み合わせたい英語チェック法
- ステップ1:基本ルールの手動チェック: 翻訳後の英文を見て、まず数字と序数に注目します。
- 1, 2, 3で終わる数字(11, 12, 13は除く)の語尾が「st, nd, rd」になっているかを必ず自分の目で確認します。これを習慣づけるだけで、多くのミスを防げます。
- ステップ2:逆翻訳による検証: 日本語から英語に翻訳した後、生成された英語をコピーし、別の翻訳ツールや同じツールの別セッションで再度日本語に翻訳してみます(逆翻訳)。
もし意味が不自然になったり、ニュアンスが変わったりした場合は、元の英語表現に問題がある可能性が高いと判断できます。 - ステップ3:権威ある英文校正ツールの活用: 翻訳ツールとは別に、文法やスペルのチェックに特化した専門のツール(例えば、世界的に利用者が多いGrammarlyの無料版や有料版)を併用します。
これらのツールは、序数の誤りのような基本的な文法ミスを高い精度で検出し、修正案を提示してくれます。 - ステップ4:辞書サイトでの用例確認: 少しでも不安に思ったら、ケンブリッジ英語辞書のような信頼できるオンライン辞書で、その単語やフレーズの用例を検索する習慣をつけましょう。
- ネイティブが実際にどのような文脈で使っているかを確認するのが最も確実な方法です。
最新のツールはあくまで強力な「補助」であると捉え、最終的な品質を保証するのは自分自身の知識と注意力である、という心構えを持つことが、正確な英語コミュニケーションへの鍵となります。
実践で学ぶ3rd 3thの正しい使い分け
- 「3th anniversary」「3th birthday」が間違いな理由
- 記念日・誕生日での「3rd」の正しい使い方
- なぜ「3th floor」や「3th date」は誤用になるのか
- 日付や階数での「3rd」の使い方と例文
- 「3rd」を含む日常英語フレーズ集
- ビジネスやスピーチで誤用したときの対処法
- 周囲に間違いを指摘するときの丁寧な言い方
「3th anniversary」「3th birthday」が間違いな理由
前述のセクションで序数の基本ルールを解説しましたが、それを具体的なフレーズに当てはめてみましょう。
「3th anniversary」や「3th birthday」という表現が明確な誤りである理由は、これらの名詞が持つ「順序」の概念にあります。
「回数」と「順序」を示す序数の役割
「anniversary(記念日)」や「birthday(誕生日)」は、単なるイベントではなく、時間の経過の中で「何回目」に訪れた出来事であるかを示す言葉です。
例えば、「3周年記念」は、事業や結婚生活が始まってから「3回目(3番目)の記念日」を指します。
同様に、「3歳の誕生日」は、生まれてから「3回目(3番目)の誕生日」を意味します。
Anniversaryの語源と序数の関係
「Anniversary」という単語の語源は、ラテン語の「annus(年)」と「versus(回る)」に由来し、「年が一周して戻ってくること」を意味します。
この語源自体が、周期的な「回数」の概念を含んでいるため、序数との結びつきが非常に強いのです。
「何回目の年の巡りか」を示すために、序数が不可欠となります。
このように、物事の順番や回数を特定して示す際には、英語では必ず序数(1st, 2nd, 3rd, 4th…)を用いる必要があります。
基数である「three (3)」をそのまま使ったり、存在しない「3th」を使ったりすることは、文法的にできません。これは英語における絶対的なルールであり、例外はありません。
記念日・誕生日での「3rd」の正しい使い方
では、記念日や誕生日を英語で正しく、そして自然に表現するには、どのように「3rd」を使えば良いのでしょうか。
フォーマルな表現からカジュアルなメッセージまで、いくつかの具体的な使い方と例文を学びましょう。
フォーマルな場面での表現(ビジネスレター、公式発表)
企業の創立記念や公式な祝辞など、丁寧さが求められる場面では、序数を省略せずに明確に記述します。
正しい表現: 3rd anniversary
例文:
- “On behalf of our entire team, I would like to extend our warmest congratulations on your company’s 3rd anniversary.” (チームを代表し、貴社の創立3周年に心からお祝い申し上げます。)
- “This year marks the 3rd anniversary of the signing of the peace treaty.” (今年は平和条約調印から3周年を迎えます。)
インフォーマルな場面での表現(SNS、メッセージカード)
友人や家族へのメッセージでは、より心のこもった、親しみやすい表現が好まれます。
正しい表現: 3rd birthday / 3rd anniversary
例文:
- “I can’t believe it’s already our 3rd anniversary! Happy anniversary, my love.” (もう3周年なんて信じられない!記念日おめでとう、愛する人へ。)
- “Wishing you a magical 3rd birthday filled with joy and laughter!” (喜びに満ちた魔法のような3歳の誕生日になりますように!)
カジュアルな省略表現
親しい友人へのメッセージカードやSNSの短い投稿では、文脈から何の記念日かが明らかな場合、よりシンプルに表現することもあります。
例: “Happy 3rd!” (3周年おめでとう!/ 3歳おめでとう!)
これは非常にカジュアルな表現なので、相手や状況を選んで使うようにしましょう。
なぜ「3th floor」や「3th date」は誤用になるのか
記念日や誕生日と同様のロジックが、建物の階数やデートの回数を表す場合にも適用されます。
これらの概念もまた、「順序」を内包しているからです。
空間的な順序(階数、番地)と序数
「floor(階)」は、建物を構成する層を、基準となる階(通常は1階)から数えて「何番目」に位置するかを示す、空間的な順序を表す言葉です。
そのため、序数を用いるのが自然です。
同様に、住所で「3番通り(3rd Street)」のように、通りの名前にも序数が使われることがあります。
時間的な順序(回数、日付)と序数
「date(デート)」も同様に、二人の関係性の中で「何回目」のデートなのか、その時間的な順番を示す言葉です。1回目、2回目、そして3回目と、時系列に沿った順序が存在します。
抽象的な順序(選択肢、優先順位)と序数
さらに、このルールは「the 3rd option(3番目の選択肢)」や「the 3rd priority(3番目の優先事項)」のように、物理的・時間的ではない、抽象的な順序を表す場合にも適用されます。
これらの理由から、「3階」は「3rd floor」、「3回目のデート」は「3rd date」と表現するのが唯一の正解です。
「3th」という存在しない序数を使ってしまうと、ネイティブスピーカーには意味が通じないか、非常に奇妙な表現に聞こえてしまいます。
日付や階数での「3rd」の使い方と例文
日常生活の中で「3rd」が特に頻繁に使われるのが、日付と階数の表現です。
これらのシーンで自然に使いこなせるよう、前置詞との組み合わせや、文化的な違いも含めて詳しく解説します。
日付の書き方・読み方の詳細ガイド(米英の違い)
カレンダー上の「3日」は、常に序数で表現され、「3rd」と表記します。
会話で発音する際も基数の「three」ではなく序数の「third」となります。日付で序数を使う際には、前置詞の使い分けも重要です。
例文:
- “The final exam is scheduled for May 3rd.” (期末試験は5月3日に予定されています。)
- “My appointment is on the 3rd of November.” (私の予約は11月3日です。)
- “She was born on April 3rd, 1990.” (彼女は1990年4月3日に生まれました。)
アメリカ式 vs イギリス式の日付表記と読み方
日付の書き方には、主にアメリカ式とイギリス式があり、語順が異なります。
どちらの形式でも「3日」は「3rd」と表記する点に注意してください。
アメリカ式: Month Day, Year
書き方: March 3rd, 2025
読み方: March third, twenty twenty-five.
イギリス式: Day Month, Year
書き方: 3rd March, 2025
読み方: The third of March, twenty twenty-five.
ビジネスメールなどでは、相手の国籍や居住地に合わせて使い分けるのが丁寧なコミュニケーションとされています。
どちらか分からない場合は、誤解の少ない「3 March 2025」のように序数の語尾を省略し、月をアルファベットで書くスタイルもよく使われます。
階数の数え方の詳細ガイド(米英の違いと具体例)
建物の「3階」は「3rd floor」と表現します。
通常、位置を示す前置詞「on」と一緒に使われます。
例文:
- “You can find the marketing department on the 3rd floor.” (マーケティング部は3階にあります。)
- “Please press the button for the 3rd floor in the elevator.” (エレベーターで3階のボタンを押してください。)
ここで非常に重要なのが、イギリス英語とアメリカ英語での階数の数え方の違いです。
これを知らないと、待ち合わせなどで混乱する可能性があります。
注意!アメリカとイギリスの「階」の数え方
アメリカ英語:
1階 → First floor (1st floor)
2階 → Second floor (2nd floor)
3階 → Third floor (3rd floor)
イギリス英語(および多くのヨーロッパ諸国):
1階 → Ground floor (G)
2階 → First floor (1st floor)
3階 → Second floor (2nd floor)
つまり、イギリスで “3rd floor” と言われたら、それは日本の感覚での「4階」を指します。この違いは海外旅行や国際的なオフィス環境で非常に重要になるので、必ず覚えておきましょう。
「3rd」を含む日常英語フレーズ集
これまでに紹介した記念日、日付、階数といった使い方以外にも、「3rd」は様々な分野の専門用語や日常的な慣用句の中で活躍します。
語彙を広げることで、より豊かで正確な英語表現が可能になります。
覚えておくと非常に便利な実用的なフレーズを、カテゴリー別に詳しく紹介します。
様々なシーンで使える「3rd」を含む実用フレーズ
ビジネス・法律
- Third-party logistics (3PL): 荷主企業に代わって、第三者(サードパーティー)が物流業務全般を設計・運営すること。物流業界の専門用語です。
- Third-party insurance: 第三者賠償責任保険。自動車保険などで、事故の相手方(第三者)への損害を補償する保険を指します。
テクノロジー
- Third-generation (3G): 第3世代移動通信システム。携帯電話の通信規格の歴史を表す際に使われます。
- Third-person view: ゲームなどで、操作キャラクターを第三者の視点(背後など)から見るカメラ視点のこと。
文法・文学
- Third person (三人称): 文法用語で、話者 (一人称) と聞き手 (二人称) 以外の人や物を指します。
- 「he」「she」「it」「they」などが該当します。
例: “The novel is written from a third-person narrative perspective.” (その小説は三人称の語り手の視点で書かれている。)
日常会話・ことわざ
- Third wheel (お邪魔虫、余計者): 主に恋愛の文脈で、カップルのデートに加わっている3人目の人物を指す口語的な表現です。
例: “I felt like a third wheel with them, so I decided to go home early.” (彼らと一緒ではお邪魔虫のように感じたので、早めに家に帰ることにした。) - Third time’s the charm (三度目の正直): 2度失敗しても、3度目には成功するという意味のことわざです。挑戦を続ける人への励ましの言葉として使われます。
例: “I failed the driving test twice, but I’m hoping that the third time’s the charm.” (運転免許の試験に2回落ちたけど、三度目の正直で合格したいな。) - To get the third degree: (警察などが)厳しく尋問すること。根掘り葉掘り聞かれることの比喩表現です。
例: “I was late coming home, and my parents gave me the third degree.” (家に帰るのが遅くなって、両親に質問攻めにされたよ。)
このように、特定の分野でよく使われる専門的な表現から、日常会話で使えるカジュアルなことわざまで、「3rd」は英語のコミュニケーションに深く根付いています。
ビジネスやスピーチで誤用したときの対処法
どれだけ注意していても、人間である以上、間違いは起こり得ます。
もし、重要なビジネスメールや大勢の前でのプレゼンテーションの最中に、うっかり「3th」と誤って使ってしまった場合、どのように対処すれば良いでしょうか。
パニックにならず、冷静に対応することが、信頼を維持する鍵となります。
口頭でのミスのリカバリー方法
最も大切なのは、小さなミスに動揺せず、スマートに訂正して話の流れを止めないことです。
一つの単語の間違いを過度に気にして謝罪を繰り返したり、話が止まってしまったりする方が、かえって聞き手に不安を与え、プロフェッショナルでない印象を強めてしまいます。
スピーチや会話の途中で誤りに気づいた場合は、その場でごく自然に、さりげなく言い直すのが最善です。
軽く笑顔を見せながら訂正すれば、誠実さと落ち着きを同時に示すことができます。
言い直しの具体例:
“As you can see from this chart, our goal for the… 3th quarter… pardon me, the 3rd quarter, is to increase market share by 5%.” (こちらのグラフからご覧いただけますように、我々の第3…失礼いたしました、第3四半期の目標は、市場シェアを5%増加させることです。)
文書でのミスの訂正方法(メール文例付き)
メールやチャット、文書などで送信してしまった後に誤りに気づいた場合は、その内容の重要度に応じて対応を判断します。
もし契約書、公式な報告書、価格提示など、記録として残り、法的な意味合いを持つ文書であれば、簡潔な訂正の連絡を別途入れるのが丁寧かつ安全です。
訂正メールの文例
件名:【訂正】先ほどのプレゼンテーション資料について (Correction regarding the presentation material)
本文:
Dear Mr. Smith,
Thank you for your time today.
Please note there was a small typo in the presentation material I sent earlier. On page 5, “3th quarter” should have been “3rd quarter”.
I apologize for any confusion this may have caused.
Best regards,
[Your Name]
一方で、日常的な業務連絡のメールなどであれば、次回の返信時から正しい表現を使うように注意すれば、特に訂正の必要はないでしょう。
重要なのは、ミスを隠すのではなく、状況に応じて誠実に対応する姿勢です。
周囲に間違いを指摘するときの丁寧な言い方
あなた自身がルールをマスターすると、今度は友人や同僚が「3th」と間違って使っている場面に遭遇するかもしれません。
そのとき、どのように伝えれば相手を傷つけたり、恥をかかせたりせずに済むでしょうか。
良かれと思ってした指摘が、人間関係を損なうことになっては元も子もありません。
指摘する前に考えるべきこと(関係性、状況)
まず、本当に指摘する必要があるのかを考えましょう。
プライベートなSNS投稿や、親しい友人とのチャットでの単なるタイプミスであれば、あえて触れない方が良い場合もあります。
しかし、ビジネスの同僚がクライアント向けの資料で間違えている場合や、英語を熱心に学んでいる友人が誤解している場合は、優しく教えてあげることが親切です。
ここでの重要な原則は、相手のプライドと気持ちを最大限に尊重し、決して上から目線にならないこと。
あくまで「役立つかもしれない情報共有」や「親切なアドバイス」というスタンスで伝えることが大切です。
具体的なフレーズ集(サンドイッチ話法など)
いきなり「その英語、間違ってるよ」と断定的に指摘するのではなく、クッション言葉を使い、柔らかい表現を心がけましょう。褒め言葉で挟む「サンドイッチ話法」も有効です。
こんな伝え方を試してみてはいかがでしょうか?
提案するような言い方:
「その記念日の投稿、写真がすごく素敵ですね!ところで、英語の序数ってすごく紛らわしいんですけど、たしか『3周年』は『3rd anniversary』と書くのが一般的かもしれません。ご参考までに!」
共感を示す言い方:
「英語の数字のルールって本当にややこしいですよね。
私もよく迷うんですけど、確か3番目だけは特別に『3rd』って書くルールだった気がします!」
自分の経験として話す言い方:
「以前、私も『3th』って書いてしまって、海外の友人に『3rdだよ』って優しく教えてもらったことがあるんです。それ以来、気をつけるようにしています。」
特に、グループチャットやSNSのコメント欄など、他の人の目がある公の場で指摘するのは避けるのが賢明です。
プライベートなダイレクトメッセージなどを利用して、一対一の状況でそっと伝えるのが、相手への最大限の思いやりと言えるでしょう。
まとめ:3rd 3thの違いを理解して使い分けよう
今回は、英語の序数における「3rd」と「3th」の違いについて、基本的なルールから歴史的背景、実践的な使い方、そしてよくある間違いへの対処法まで、幅広く掘り下げてきました。
一見すると些細な違いに思えるかもしれませんが、この正確な使い分けが、あなたの英語をより自然で信頼性の高いものへと引き上げてくれます。
最後にこの記事のポイントをまとめました。
- 「3th」は英語として存在しない文法的に誤った表記
- 「3番目」を意味する唯一の正しい表現は「3rd」
- 「3rd」は「third」という固有の単語の正式な省略形
- 英語の序数は1st (first), 2nd (second), 3rd (third)が特別なルールを持つ
- 4番目以降は基本的に基数の語尾に「th」を付けるのが原則
- 11, 12, 13は「-teen」ルールの例外で「11th, 12th, 13th」と表記する
- 21, 22, 23などは基本ルールに従い「21st, 22nd, 23rd」となる
- 「anniversary」や「birthday」など回数や順序を表す言葉には必ず序数を使う
- 日付や建物の階数を表す際にも「3rd」を使用するのが必須
- 「3rd floor」や「3rd date」が文法的に正しい表現
- 多くの学習者が間違う主な原因は、ルールを単純化して記憶してしまうことにある
- SNSやカジュアルな文章では「3th」という誤用が頻繁に見られるので注意が必要
- 翻訳ツールは誤りを検出しない可能性があるため、最終的なセルフチェックが重要
- ビジネスシーンで間違えた際は、慌てず冷静に訂正することが信頼を維持する鍵
- 他人の間違いを指摘する際は、相手の気持ちに配慮し、丁寧な表現を心がける